トム・クルーズとダスティン・ホフマン名演が光る「レインマン」、あなたの人生観に変化を与えてくれる名作だ

久しぶりにトム・クルーズとダスティン・ホフマン共演の感動作「レインマン」を観た。ちゃんと見直したのは20年ぶりくらいだろうか。この作品は、私の映画人生に多大な影響を与えた一本である。

 

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「タップス」(1982年)、「アウトサイダー」(83年)、「卒業白書」(84年)で注目され、86年の「トップガン」「ハスラー2」で大ブレイクを果たした青春スターのトムが、演技もできることを証明するかのようにドラマ作品に取り組んだ一本。「ハスラー2」でのポール・ニューマンに続き、名優ホフマンとの共演が話題になった。

 

当時まだ中学1年生の私はもちろん劇場では観ていない。5歳上の姉がレンタルビデオ店でアルバイトをしていて、確かVHSのサンプル版をもらってきたことから、家で繰り返し観ることができたというもの。恐らく合計9回〜11回くらいは観ていると記憶している。

 

「トップガン」でトムにはまっていた私は、今度はどんな格好いい姿を見せてくれるのかと期待して観たのだが、観終わった後に純粋に心があたたかくなったのを今でも覚えている。監督は「グッドモーニング、ベトナム」のバリー・レビンソンで、音楽は今や映画音楽巨匠であるハンス・ジマーという布陣だ。

 

絶縁状態だった父親が死に、トム演じる息子チャーリーは遺産が舞い込むと期待し、喜び勇んで葬式に出席する。だが、チャーリーへの遺産はクラシックカーの1台のみ。他の遺産は第三者が相続することになっていて、そこでチャーリーは自分に兄がいたことを知る。しかも会いに行ってみると兄は自閉症で病院に入院していた—。

 

外車の輸入業者をしているチャーリーは自分勝手な男で、会社も破産寸前に追い込まれていた。そんな男が父親の死をきっかけに自閉症の兄と旅をすることになり、その道中で次第に心を通わせていく姿を描いていく。お金目当てだった男が、生きる意味、人生とは何か、孤独や家族と愛について自分を見つめ直していく物語は、中学1年生の私の心を揺さぶった。

 

自閉症の兄レイモンドを演じるホフマンの演技が素晴らしく、それにトムが見事に応えている。ハンス・ジマーの独特のテンポの曲に乗せて、アメリカを横断していく展開が、私の心も連れて行ってくれた。レビンソン監督の人間を見つめる眼差しがあたたかい。

 

80年代には、ハリウッドでこんな作品がちゃんと作られていたことに、改めて感服する。莫大な制作費を投入したヒーロー映画や3D、IMAX、4DX向けのアトラクション映画が作られる前の時代だ。80年代は私の青春時代だが、70年代のアメリカン・ニューシネマの名残がある古き良き時代だった。

 

この「レインマン」を観ると、こんな映画が作りたいと、改めて映画業界で頑張ろうと思わせてくれる。まだ未見の方には是非一度観て欲しい。あなたの人生観に変化を与えてくれる作品になることは保証する。

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