スティーブン・スピルバーグ監督が映画の面白さを再発見させてくれる!「レディ・プレイヤー1」が映画表現の可能性を新たに切り開く 

スティーブン・スピルバーグ監督がまたやってくれた。新作「レディ・プレイヤー1」は、映画の可能性を切り開こうとする野心的であり、革新的なSFアクション。3DにIMAX、4DXにMX4Dなどなど、映画鑑賞がアトラクション化した先に新たに誕生した体験型の映画だと言える。

 

同作は、アーネスト・クラインによる小説「ゲームウォーズ」を原作に映画化したもの。ゲームの世界を映画で描き、映画を観ながらゲームをしているようなVR(ヴァーチャル・リアリティ)の世界を体験させてくれる。

 

舞台は2045年という今から27年後の世界。貧富の差が広がり、多くの人たちが荒廃した街に暮らしているという設定。そんな人々の唯一の楽しみは、VRの世界「オアシス」に没入し、アバターとなって自分の理想の人生を楽しむこととなっている。

 

荒廃した現実の世界からVR世界に入り込む際のトリップ感は秀逸で、観客はVR用のメガネをかけなくても、まるでそのゲームの世界に入り込んだような錯覚を起こす映像表現が駆使されている。映画を観ている観客は、途中から映画を観ているのか、ゲームの世界に入り込んでいるのか、その境界線がわからなくなるのでないだろうか。

 

予告編を観た時は、なんでもありのVRのゲーム世界がごちゃごちゃしていて正直についていけないのではないかと思ったが、そこはスピルバーグ監督、ちゃんと整理して展開していってくれる。現実の世界とゲームの世界をいったりきたりする展開が、次第にsのトリップ感が気持ち良くなってくるほどだ。

 

さらにゲーム世界には、日本人には堪らない人気キャラクター数多く登場し、高揚させてくれる遊び心満載の内容に思わずニヤけてしまった。もはや映画だ、ゲームだ、アニメだと、それぞれの表現の限界や境界線はなくなり、縦横無尽にそれぞれを行き来しながらフィクションの世界と現実世界が融合したような世界に観ているうちにぶち込まれていく。

 

そして終盤の追いかけっこ。往年のスピルバーグ作品を彷彿とさせる王道の展開に涙する映画ファンも少なくないだろう。映画的記憶をしっかりと内包しつつ、映画の新しい表現に挑戦していくスピルバーグ監督の映画愛には感服せざるを得ない。

 

私は字幕の通常版で観たが、これがまた3D吹替版などのバージョンで観るとさらに埋没感、体験感を味わうことができるだろう。「ブリッジ・オブ・スパイ」や「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」などのドラマものとまた違ったスピルバーグ監督の本領が久々に発揮されている。

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北野武監督独立騒動のその後と、オフィス北野と北野映画のこれからに思うこと

北野武事務所独立の内幕が徐々にわかってきた。私が前回触れた大杉漣さんの突然の逝去に対する精神的な感傷などではなく、事務所社長とのお金絡みのトラブルであるらしい。

 

武さんの独立のタイミングに合わせて、たけし軍団の言い分(暴露話)が表に出て、裏切り者扱いされた森昌行社長がこれに反論するという内紛の様相は激化しそうになったが、森社長が改めて武さんに謝罪し、たけし軍団のメンバーと話し合いの場をもって事務所を建て直す方向で収束しそうだ。

 

世界の北野武監督を作り上げた森社長の功績は今のところ誰もが認めるところであろう。その相棒と最後はお金絡みで袂をわかつことになってしまったことは、北野映画ファンとしては何とも寂しい。

 

本当の理由はまだわからないが、武さんが独立したいと言い出せば、森社長からすればこれまでの自分の映画プロデュースの面での貢献はなんだったのか、さらに稼ぎ頭の武さんがいなくなるとなれば、オフィス北野の売上は大きく落ちることは明白なわけで、独立までに自分はもちろん、事務所スタッフに預金(資産)を分け合おうと考えてもおかしくはない。

 

ちょうどこのタイミングで「龍三と七人の子分たち」を観た。引退した元ヤクザの老人たちの最後の暴走を面白可笑しく描いており、北野監督の才能を堪能したが、武さんもこの主人公たちと同じ年齢、立場になりつつある。

 

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今回の騒動は、独立に絡めてオフィス北野、もしくはたけし軍団の知名度を上げるための演出のようにも見えなくもない。それはそれで良いと思うが、森プロデューサーと袂を分かった北野監督は、これからどのような体制で映画を監督していこうと考えているのだろうか。

 

一部報道では「もう映画は撮らない!」と吠えたというが、落ち着いてくれば撮りたくなるに違いない。それに他の映画会社やプロデューサーたちが黙っているわけがない。新たな体制で、どんな北野映画を見せてくれるのか、少し先の話になるのかもしれないが、新作がいまから待ち遠しい。