ジャン=リュック・ゴダール監督の2代目ミューズ、仏女優アンヌ・ヴィアゼムスキーさん逝去

ジャン=リュック・ゴダール監督の2代目ミューズ、仏女優のアンヌ・ヴィアゼムスキーさんが10月5日に乳がんのため亡くなったと仏メディアが報じました。70歳だったとのこと。

私は断然初代ミューズのアンナ・カリーナ派なのですが、訃報を聞いてまた一つの時代が終りを告げたのだと思いました。

報道によれば、アンヌさんは1947年にドイツに生まれ、64年の18歳の時にロベール・ブレッソン監督「バルタザールどこへ行く」で映画デビューを果たしました。

そして、67年にゴダール監督の「中国女」で主演を務め、アンナ・カリーナとはまた違った魅力で世界にその存在を知らしめました。同年にはゴダール監督と結婚し、「ウィークエンド」(67年)、ゴダールらが設立したジガ・ヴェルトフ集団による「東風」(70年)、「万事快調」(72年)などの、67年以降商業映画と決別宣言した作品に出演します。しかし、ゴダール監督が商業映画に復帰した「勝手に逃げろ/人生」の79年に離婚しました。

ゴダール作品以外では、ピエル・パオロ・パゾリーに監督「テオレマ」(68年)、フィリップ・ガレル監督「秘密の子供」(82年)、アンドレ・テシネ監督「ランデヴー」などの作品に出演。ガレル監督「彼女は陽光の下で長い時間を過ごした」(85年)以降は映画には出演していません。

一方で、小説家としても活躍し、自伝的小説「彼女のひたむきな12カ月」にはゴダールとの恋愛関係を赤裸々につづって話題となりました。

アンナ・カリーナとはまた違った魅力と前述しましたが、アンナが陽ならばアンヌは陰のイメージでしょうか。どうしても政治色の強いジガ・ヴェルトフ集団の作品に出演していたことも影響しているでしょう。

とはいえ同時の天才ゴダールの創作意欲をかき立てた存在、女性であったことは事実で、プライベートな彼女は映画の中のイメージとは違う魅力を持った女性だったのでしょう。

映画青年だった大学生の時に観て多大な刺激を受けたゴダールの傑作の一本、「ウィークエンド」からすでに50年が経ったのだと思うと、なんだかとても感慨深いものがこみ上げてきました。

アンナ・カリーナとよく比較されたと思いますが、女優アンヌさんの姿はゴダールの作品とともに生き続けるわけで、選ばれし希有な女優の一人だったということですね。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

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週末にでも「ウィークエンド」を見返したくなりました。

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