様々な映画的記憶が詰まったSF映画の金字塔「ブレードランナー」、新たな傑作誕生との呼び声が高い新作「ブレードランナー 2049」が間もなく公開!

「ブレードランナー 2049」がいよいよ10月27日より公開されます。ひと足お先の全米では大ヒットスタートとはなりませんでしたが、映画業界や鑑賞者の評価はかなり高いようです。元々1982年公開の前作「ブレードランナー」も公開後にカルト的な人気を徐々に博して傑作SF映画になったことから、新作の初動の興行成績もこれでいいのかもしれません。

ということで、復習のために「ディレクターズカット ブレードランナー 最終版」を観直しました。リアルタイムで観ていない世代の私は、VHSもしくはテレビ放送で最初に観たと思うのですが、改めてブルーレイの高画質で観ると、さらにその映像の素晴らしさに驚嘆しました。

このバージョンは、ハリソン・フォード演じる主人公デッカードのナレーション、バイオレンス描写、そしてハッピーエンディングが削除され、一角獣の神秘的な映像が追加されています。なるほど最初に観たオリジナル版と比べると確かにすっきりした印象を持つと同時に、より余韻の残る作品に変化したように思います。

2019年ロサンゼルスの荒廃した未来都市、降り続く酸性雨、レプリカントと呼ばれる人造人間、空飛ぶ車、日本やアジアの電子広告など、35年前に作られたとは思えないクオリティと創造力で今観ても色あせることはありません。闇と光の映像表現が見事で、基本的には闇の中の世界に光が差しているといった方がいいでしょうか。

ブラインド越しの光が当たるデッカードの顔、外のライトが周期的に差し込む暗い屋内、久々の太陽(?)の光に照らされるショーン・ヤング演じるレプリカント、レイチェルの美しい顔、ルトガー・ハウアー演じるレプリカントの青い瞳としたたる汗や涙、そして雨を絶妙に映し出す光と、シド・ミードによる美術、造形の素晴らしさはもちろんのこと、映画的な光と闇の表現がこの作品をSF映画の金字塔にしているのだと思います。

また、今回観直して印象に残ったのは、やはりヴァンゲリスの音楽です。あのメインテーマが流れると、自然と心が踊ります。また、対照的なスローな曲がハードボイルド感を高めています。フォード演じる捜査官デッカードが着ているトレンチコートの姿には「カサブランカ」「三つ数えろ」などのハンフリー・ボガートの記憶が重なるし、白いハトはその後のジョン・ウー映画に継承されるなど、映画的な記憶とつながって様々な見方ができる作品です。

 

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まだ「ブレードランナー」を観たことがない方は、是非観てから新作「ブレードランナー 2049」を観ていただきたい。確実に映画の見方が変わる、人生の記憶に残っていく稀な作品だと思います。

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