「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(15年)に続くシリーズ第8弾「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」が世界中で大ヒットを記録していますが、賛否両論を呼び、一部のスター・ウォーズファンからは批判されているようです。理由は、マーク・ハミル演じるルーク・スカイウォーカーとジェダイの伝統をぶち壊しているというもの。
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ネタバレありなので注意してお読みいただきたいのですが、前作「フォースの覚醒」の最後に登場したルークが新作でどんな活躍を見せるのか期待を胸に劇場へ駆けつけたのですが、はるばる会いにきたレイに渡されたライトセーバーを、ルークはいきなりぽいっと投げ捨ててしまうのです。これには正直度肝を抜かれました。
しかし、このシーンが新作の新たな世界観を象徴しているとも言え、さらにラストの驚異的な展開を盛り上げる結果になっていると私は捉えています。批判している一部のファンは、このルークの態度やジェダイの伝統を否定するような展開に戸惑っているのでしょう。
ライアン・ジョンソン監督がすでに語っているように、新作のテーマは登場人物たちの新たな「葛藤」です。「フォースの覚醒」を観て期待したり、想像した展開とはいかないのが新作の見どころでしょう。
眠っていた力が覚醒したレイは、ルークに出会い、そのフォースを研ぎ澄ましていきますが、同時に暗黒面にも誘惑されます。前作で父親ハン・ソロを殺めたカイロ・レンは、その力や野望を増大させていきますが、母親であるレイア・オーガナを殺すことには躊躇し、スノーク最高指導者に反旗を翻すという心の揺らぎをみせ、レイに仲間になるように手を差し伸べます。
一方、ルークは弟子であったカイロ・レンの秘めた力に驚き止めようとするのですが、暗黒面へ追いやってしまった自らの過ちを胸に隠居、ジェダイ騎士のフォースの力を否定するという設定。でも、レイと出会ったことで自らの役割を受け入れて、圧倒的な力を発揮します。
私が面白かったのはレイとカイロ・レンの新たな関係性。前作でライトセーバーを交えた2人は、その後、離れてはいても意識かで何度もつながり会話し、お互いの存在を強烈に認め合っていきます。今のところ兄弟でもない、愛し合ってもいない2人が今後手を取り合うことはあるのでしょうか。
もう一つはラストでルークがジェダイ騎士としてフォースの力を存分に発揮するシーン。絶体絶命に追いやられた反乱軍を寸でのところで救い出します。日本の武士道や精神世界にも通じるような描写にはニヤリとさせられます。
誰しもが持っている光と闇。映像技術の進歩による視覚的な面白さはもちろんですが、「スター・ウォーズ」シリーズが愛されているのは、この精神世界を「ジェダイ」や「フォース」、「ダークサイド」などに置き換えて描き出しているからでしょう。
新作ではこのルークやジェダイの扱いがこれまでのシリーズとはちょっと違和感があったことから批判につながっているにのだと思います。しかし、ヨーダによって焼き払われていたと思ったジェダイの教典(聖典)は実はちゃんと残されていたのではと思わせるシーンもあるので、次回作の第9弾に期待が高まります。