洋画のホラー映画としては異例の大ヒットを記録している「IT イット“それ”が見えたら、終わり。」を観てきました。
高校生以上の若者が連れ立って映画館に詰めかけているということで、子ども受けを狙ったホラーなのだろうと甘くみていたのですが、なるほど、怖いだけでなく、映画としてしっかりと面白いではないですか。さすが、原作はスティーブン・キングの代表作のひとつ。1990年にはテレビドラマ化もされています。
舞台はアメリカの静かな田舎町なのですが、この町はいわくつきの歴史をもっていて、ある種都市伝説的な不穏な恐怖がうごめいているのです。しかも“それ”はピエロとして現れるではないですか。
子どもの頃、誰しもがもっていた“恐怖”。それはお化けに対するものかもしれないし、見えないものへの恐れ、暗闇の中の気配など。
しかしこの映画は、そういったものへの恐怖を描くだけでなく、生きていく上でそれぞれが持っている現実的な恐怖にも置き換えて描かれているところが多くの共感を呼んでいるようです。“それ”の恐怖を克服するために、仲間と力を合わせて立ち向かっていく展開は胸を熱くするものがあります。
映画としての視覚的な恐ろしさ、仕掛け、音、編集、特殊効果など、これでもかというくらいに畳み掛けてくるのですが、感心したのは脚本の面白さ。もちろんホラー映画特有のご都合主義的な展開も満載なのですが、それを差し引いても新しい感覚で訴えてくる物語の高まりとともに恐ろしさを味わえます。
ちょっと最近生温い映画に飽きていた方には、おススメのホラー映画です。