北野武監督独立騒動のその後と、オフィス北野と北野映画のこれからに思うこと

北野武事務所独立の内幕が徐々にわかってきた。私が前回触れた大杉漣さんの突然の逝去に対する精神的な感傷などではなく、事務所社長とのお金絡みのトラブルであるらしい。

 

武さんの独立のタイミングに合わせて、たけし軍団の言い分(暴露話)が表に出て、裏切り者扱いされた森昌行社長がこれに反論するという内紛の様相は激化しそうになったが、森社長が改めて武さんに謝罪し、たけし軍団のメンバーと話し合いの場をもって事務所を建て直す方向で収束しそうだ。

 

世界の北野武監督を作り上げた森社長の功績は今のところ誰もが認めるところであろう。その相棒と最後はお金絡みで袂をわかつことになってしまったことは、北野映画ファンとしては何とも寂しい。

 

本当の理由はまだわからないが、武さんが独立したいと言い出せば、森社長からすればこれまでの自分の映画プロデュースの面での貢献はなんだったのか、さらに稼ぎ頭の武さんがいなくなるとなれば、オフィス北野の売上は大きく落ちることは明白なわけで、独立までに自分はもちろん、事務所スタッフに預金(資産)を分け合おうと考えてもおかしくはない。

 

ちょうどこのタイミングで「龍三と七人の子分たち」を観た。引退した元ヤクザの老人たちの最後の暴走を面白可笑しく描いており、北野監督の才能を堪能したが、武さんもこの主人公たちと同じ年齢、立場になりつつある。

 

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今回の騒動は、独立に絡めてオフィス北野、もしくはたけし軍団の知名度を上げるための演出のようにも見えなくもない。それはそれで良いと思うが、森プロデューサーと袂を分かった北野監督は、これからどのような体制で映画を監督していこうと考えているのだろうか。

 

一部報道では「もう映画は撮らない!」と吠えたというが、落ち着いてくれば撮りたくなるに違いない。それに他の映画会社やプロデューサーたちが黙っているわけがない。新たな体制で、どんな北野映画を見せてくれるのか、少し先の話になるのかもしれないが、新作がいまから待ち遠しい。

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