アメリカン・ドリームを成し遂げたシルベスター・スタローンの「ロッキー」は、生きる勇気を与えてくれる必見シリーズだ

人生の壁に打ち当たったり、苦しいことがあったりすると決まって頭をよぎる映画の一本が、「ロッキー」です。これ以上の悪いことはない、落ちるところまで落ちた、後は這い上がるだけだ。それを証明するためには最後までリングの上に立っていること。自分の存在を確かめるため、そして愛する人のためにも。

1976年のこの作品は、無名だったシルベスター・スタローンを一躍大スターにし、アメリカン・ドリームを成し遂げた主人公の姿とも重なって、世界中の人々の共感を得て大ヒットしました。当時まだ赤ん坊の私はもちろんリアルタイムに劇場では観ていませんが、物心がつく頃にも繰り返しテレビでパロディが演じられていたのを覚えています。

そして、テレビの映画枠で初鑑賞。恐らく何度目かの再放送だと思うのですが、子供ながらに手に汗握りながらロッキーの勇姿に涙しました。うだつの上がらないチンピラボクサーが、ある女性との出会いによって覚醒し、ラッキーなチャンスをつかんで、愛を証明するためにも、自分の存在を証明するためにも、周囲の協力を得ながら自分の限界に挑戦します。

もはや勝つことが目的ではなく、人生を諦めずに最後までリングに立っていること。それが証明できれば、人生をやり直せると気づくのです。

ポルノ俳優のバイトもしていたという噂もある売れない無名のスタローンが、あるボクシングの試合に感化されて、3日3晩で脚本を書き上げたと言われています。脚本を買い取るのはまだわかりますが、そんな無名の俳優を主役に起用する決断をした製作陣に脱帽です。物語はもちろん、映画製作そのものがアメリカン・ドリームを成し遂げるためのものだったのかもしれません。

監督のるジョン・G・アビルドセンは、今年6月16日(現地時間)、すい臓がんのため米ロサンゼルスで他界しました。81歳でした。訃報を受け、スタローンがインスタグラムに投稿したアビルドセン監督へのコメントは必読です。

「ロッキー」シリーズはこれまでに6作製作されました。15年には新たな物語「クリード チャンプを継ぐ男」も製作されている名作シリーズとなっています。個人的には、映画に目覚めた頃、思春期の時に観た「ロッキー4 炎の友情」(86年)は何度観て涙し、身体を動かしたことかわかりません。

今手元には完結編「ロッキー・ザ・ファイナル」(06年)のプレスシートがあります。シリーズのすべてが凝縮されたような一冊です。世代交代、変わらぬ友情と愛、思い出、新たなる挑戦、ネバー・ギブアップ…時代時代に合わせたシリーズの名シーンが甦ってきます。

スタローンは一俳優にとどまらず、監督・脚本も手掛けてその才能を発揮し、「ランボー」シリーズ、「エクスペンダブルズ」シリーズなど、数々の名作・傑作を生み出し続けています。

未見の方はいないと思いますが、もしまだ観ていない方がいるならば、男女問わず是非観て欲しいシリーズです。諦めず挑戦し続ければ必ず道は開ける、そんな風に人生を豊にしてくれる一本になること間違いなしです。あのメインテーマが頭に流れてきました。

 

ロッキー ブルーレイコレクション(6枚組) [Blu-ray]

 

「ロッキー・ザ・ファイナル」
2006年/アメリカ/1時間43分/ビスタサイズ/SR・SRD/DTS
配給:20世紀フォックス映画

コメントを残す