何かと話題の映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」を観てきました。夏休み作品として8月4日から公開されたのですが、週末興行ランキングで初登場5位。土日2日間で動員11万7000人、興収1億6600万円という期待を下回るスタートを切りました。
原作は、シリーズ累計発行部数1億部を超える荒木飛呂彦氏の大ヒットコミックです。山﨑賢人主演、三池崇史監督で実写映画化という、製作発表時からそのキャスティングなどで、原作ファンからは賛否両論を巻き起こしていました。ふたを開けてみたら公開劇場はガラガラとの評判がSNS上でも吹き荒れていたので、どれだけ原作ファンの期待を裏切る作品になっているのかと確かめにいったのですが、これが意外に良く出来ていたという感想です。
私は世代的に初期の第一部「ファントムブラッド」は読んでいるのですが、今回実写化された第4部の原作はほぼ未読です。しかし、所々は読んだり、情報として原作の世界観や展開については掴んでいるので、そのレベルでの原作の認識で観ても製作陣はマジに実写化に取り組んだことが伝わってきました。
ただ、そのために全体的にダークな作品になっていることは避けられず、うちの娘の「思っていたよりもグロテスクだった」という感想がここまでの興行結果を象徴しているのではないでしょうか。
原作ファンの期待に応えようとすればするほどファミリー向け映画にはならないわけで、かといって幅広い層に受けようとひよると原作ファンから袋だたきにあうというとても難しい素材なわけです。私は充分楽しめたのですが、原作を読んでいない人にとっては、作品世界を理解するのにちょっと時間がかかるかもしれません。
一方で、同じ夏休み作品で大ヒットしている「銀魂」の興行と比べると分かりやすかもしれません。こちらは「週刊少年ジャンプ」連載の空知英秋氏原作による大ヒットコミックを、小栗旬主演、福田雄一監督で実写映画化したもの。7月14日より公開され、週末興行ランキングで初登場2位。土日2日間で動員39万2789人、興収5億4103万2900円を記録する大ヒットスタートを切り、8月13日現在で累計興収は31億円を突破しました。
こちらは原作を読んでいなくても楽しめるファミリー向けの作品になっていたと思います。原作の世界観と福田監督ワールドが見事に融合し、キャスト陣もハマっていて、テンポの良い展開とくだらないギャグで劇場内は笑いが定期的に沸き起きていました。客層を見回しても家族連れが多く観られました。ただ、この作品がいわゆる「映画」かと言われるとちょっと疑問符が付くくらい、新時代の「映画」なのだという捉え方です。
「ジョジョ」は私からするといい意味で三池ワールドが炸裂したぶっ飛んだ映画で、観ていてニヤけてしまうシーンが何度もありました。山田孝之さんと新田真剣佑さんの怪演も見所の一つですね。
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両作品とも洋画メジャーのワーナー・ブラザース映画の作品(『ジョジョ』は東宝共同配給)で、日本のアニメを実写化して、世界にも発信していこうとするローカル・プロダクション作品です。ワーナーとしても「ジョジョ」は予想を下回る興行になっていると思いますが、なんとか第二章を製作して欲しいものです。
※興行数字はいずれも興行通信社発表のものを参照。