スティーブン・ソダーバーグ監督が「ローガン・ラッキー」で映画復帰、「トラフィック」「エリン・ブロコビッチ」「チェ」のような作品をまた観たい!

スティーブン・ソダーバーグ監督の映画復帰作「ローガン・ラッキー」が、11月に日本公開されることが決定しました。26歳の時に撮った「セックスと嘘とビデオテープ」(89年)で衝撃的なデビューを飾って以来、多くの話題作を手掛けてきたソダーバーグ監督。サスペンス「サイド・エフェクト」(13年)をもって劇場映画から引退を宣言していましたが、ソダーバーグ監督の劇場映画を待っていたファンは多いはず。

ハリウッドのヒットメーカーでありながら、ソダーバーグ監督が高い評価を受けるのは、豪華ハリウッドスター競演の「オーシャンズ11」シリーズのような娯楽作から、「トラフィック」「エリン・ブロコビッチ」(ともに00年)といった社会派ドラマ、サスペンスなど硬軟手掛けられる多才さだろう。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞や米アカデミー賞監督賞受賞などがそれを物語っています。

私が中でも好きな作品は、2部作の「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」(08年)です。ピーター・アンドリュース名義で撮影監督としての手腕も発揮しているソダーバーグ監督のカメラは、まるでチェ・ゲバラやフィデル・カストロたちと革命の最前線にいるかのような錯覚を覚えるほどのリアルさがあり、ドキュメンタリータッチのような語り口に作品に引き込まれてしまいます。チェを演じたベニチオ・デル・トロの熱演も素晴らしかったですね。

私が今手にしているのは「ガールフレンド・エクスペリエンス」(09年)です。当時の現役ナンバー1ポルノ女優サーシャ・グレイを主演に迎えて製作した恋愛ドラマ。意外に思いもしたが、撮影当時の秋に起きたリーマン・ショックによる経済破綻や大統領選にも触れた興味深い内容になっています。

まるでポルノ女優の日常生活に入り込んだような視点で描かれており、覗き見的な要素もありながら、一人の女性の感情に寄り添っていく演出はソダーバーグ節は健在。ファッション、レストラン、アート、SEX、金融、オバマ大統領など、リアルなニューヨークライフが体感でき、ソダーバーグ監督が社会や人間、世界をどのように見ているのかが、本作でも伝わってくると思います。

 

ガールフレンド・エクスペリエンス/バブル [DVD]

 

2009年/アメリカ/シネスコ/ドルビーデジタル/77分
配給:東北新社

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