ジム・ジャームッシュ作品から多大な影響を受ける、「コーヒー&シガレッツ」でちょっと息抜き

ジム・ジャームッシュ、この監督は私の映画人生の中で外せない一人です。というか、相当な影響を受けています。先日、おそらく20年ぶりくらいに「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(84年)をhuluで観直したのですが、やはりいいですね。役者、セリフ、絶妙な間とリズム、キャメラ、モノクロの映像、音楽と、ジャームッシュの独特なオフビートな世界がなんとも格好よくて、今観てもオシャレ。

初めて観始めた時はこのノリで映画として成立するのかと思ったのですが、とんでもない、とても映画的な作品で引き込まれてしまいました。特別何か大きな事件が起きるわけではないのですが、抑制された役者の表情や台詞回し、その行間、時に水墨画のようにも見えるモノクロ映像とセンスのいい音楽の使い方が新しく刺激的でした。80年代当時アメリカの他者との関係、距離感を独特の視点で捉えていたのだと思います。

もちろん「パーマネント・バケーション」(80年)、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」、「ダウン・バイ・ロー」(86年)、「ミステリー・トレイン」(89年)、「ナイト・オン・ザ・プラネット」(91年)は世代的にリアルタイムで観ることは出来ず、90年代に入って本格的に映画について学び始めてからビデオで鑑賞しました。

スクリーンで観たのは「デッドマン」(95年)です。ジョニー・デップを主演に迎えた西部劇で、ロビー・ミューラーのモノクロの映像美と、ジャームッシュの世界観・死生観、ニール・ヤングの即興音楽にしびれました。フォレスト・ウィテカーを主演に迎えた99年の「ゴースト・ドッグ」にもはまりましたね。音楽はウータン・クランのRZAでした。

そして久しぶりに手にしているのは、03年の「コーヒー&シガレッツ」のプレスシートです。カフェを舞台に、コーヒーとタバコについてのリラックス・ムービーで、ジャームッシュでしか撮れない作品でしょう。俳優からミュージシャンまで個性派の面々が出演し、音楽はジャームッシュならではの選曲となっています。ただ、この辺の作品から少し迷走しはじめるのですが…。

プレスシートはほぼ正方形で、モノクロ48ページもあるブックレットタイプで、写真集のようにオシャレです。配給・宣伝会社アスミック・エースのセンスを感じます。映画を観続けることにちょっと疲れてしまったあなた、肩の力を抜いて、コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながらリラックスして観て欲しい作品です。

 

コーヒー & シガレッツ (初回限定生産スペシャル・パッケージ版) [DVD]

2003年/アメリカ/スモークスクリーン・インク提供/アスミック・エース=BIMディストリビューション共同提供/35ミリ/97分/ヨーロピアンヴィスタ/モノクロ/ドルビーSRD/サウンドトラック:ビクターエンタテインメント/配給:アスミック・エース

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