フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」が好きな者として、書店で目にし、反射的に手に取ってしまった書籍「ゴッドファーザーの血」。著者はマリオ・ルチアーノという男。
ルチアーノ、そうマフィア映画好きの方ならすでにお気づきと思うが、このマリオさん、伝説のマフィア“ラッキー・ルチアーノ”の末裔だというではないか。そんな末裔が現在日本にいるという。
このキャッチコピーだけでも読むに値するのだが、マフィアとしてヤクザとして生きたマリオさんの激動の半生が綴られている。五代目山口組組長、大物右翼、元総理大臣、有名俳優、マフィアの5代ファミリー、さらにはアラファト元PLO議長といった名前が並び、コッポラ監督も出てくるではないか。
世界各地を流転し、幾多の出会いと別れ、金と裏切りといったまさにマフィア映画のような人生を歩んできた著者が、日本で最後に「本当の愛」を見つけたという落ちである。
ここまで書いてしまって大丈夫なのかと心配になるような裏の世界の男たちが登場し、実際に何度も危ない目にもあっているが、読んでいると、まさにルチアーノの血がこのような人生を歩ませているとしか思えない。
しかし、どんなに派手に生きてきても、やはり裏の世界の男たちの末路は普通ではないことも語られている。マリオさん自身もファミリーのために金を稼ぎ、命を張ってきても裏切られ、家族や金といったもの全てを失っている。
孤独を味わっている人生の後半に出会った女性との出会いが生き方を変え、この書を書かせたのだろう。人生の裏の教科書としてあっという間に読んでしまった。