6月の映画興行が約1年ぶりに前年比プラスになるも、気になる絶対的王者の興行傾向

映画業界ニュースによれば、6月の映画興行が約1年ぶりに前年比プラスとなったようだという。映画興行は堅調というイメージを持っていた方からすると驚かれるかもしれないが、昨年8月からずっと前年割れが続いていたのだ。

 

この6月は、今年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドール賞を受賞した是枝裕和監督「万引き家族」に加え、長澤まさみと山田孝之が共演したラブコメディ「50回目のファーストキス」、池井戸潤原作を初めて映画化した長瀬智也主演「空飛ぶタイヤ」、大ヒットヒーロー映画の続編「デッドプール2」などが興収10億円を突破。6月29日より公開された「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」も貢献したようだ。今年の夏は大ヒットシリーズの最新作の公開が控えていることから夏休み興行に期待が高まる。

 

しかしその一方で、日本映画界の絶対的王者、映画興行の牽引者である東宝配給作品が、今年は少し元気がないように見える。「のみとり侍」「恋は雨上がりのように」「OVER DRIVE」「羊と鋼の森」といった作品が最終興収で10億円に届きそうにない(7月上旬時点)。東宝配給作品といえば、コケても最低限10億円超えは当たり前だったが、最近はそのハードルが下がってきているように思う。

 

また、同社の6月の映画営業部門の興行成績は前年比75.8%で、1月から6月の累計興収は92.3%となっている。

 

この傾向は、いわゆる邦画と洋画の年間興収シェアの揺り戻しによるものなのだろうか。昨年から洋画の大ヒットシリーズなどの新作の興行が好調で、今年の夏休みも「デッドプール2」「ハン・ソロ」に続き、「ジュラシック・ワールド 炎の王国」「ミッション:インポッシブル フォールアウト」「インクレディブル・ファミリー」などが公開される。

 

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とはいえ、東宝配給の定番アニメ「名探偵コナン ゼロの執行人」は4月13日公開以来ロングランとなっており、累計興収は85億円を突破し、シリーズ最高興収記録を更新し続けている。

 

いわゆる、少女コミック原作を実写映画化した「キラキラ映画」が他社も制作して同じような作品が乱立し、東宝としても新しいヒットの鉱脈を見つけるべく、先陣を切って多様な作品に取り組みだしたようにも見える。前述の配給作品は数字的には苦戦しているが、東宝の戦略による種まきの時期なのかもしれない。

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