ジョン・ウー監督の映画美学、壮大な感動ドラマとスペクタクルを堪能できる「レッドクリフ」2部作

ジョン・ウーと言えば「男たちの挽歌」(86年)ですが、そのウー監督の集大成と言える作品は2部作の「レッドクリフ PartⅠ」(08年)、「レッドクリフ PartⅡ 未来への最終決戦」(09年)ですね。ウー監督版三国志のこの2部作は世界各国で記録的な大ヒットとなりました。

構想18年、総製作費100億円、そのうち10億円の私財をウー監督自ら投じたという渾身のビッグ・プロジェクト。エキストラとして召集された現役人民軍兵士はなんと1000人以上、騎馬隊のために用意された馬は200頭で、VFXは「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのスタッフによって1000カ所以上施されたという破格のスケールのスペクタクル巨編です。

キャストもトニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、リン・チーリンなど、アジアを代表するビッグスターたちが豪華共演しました。

アクションとドラマ、俳優、技術力が見事に融合し、ラストの赤壁(レッドクリフ)の戦いは圧巻の迫力です。アクションに偏ってしまうのではなく、そこにしっかりと感動のドラマが描かれているのがウー監督作品の真骨頂。まさにウー監督の全てをかけた映画。

しかも中国国内だけに向けた作品ではなく、「勇気」「友情」そいて「愛」をテーマに、世界中の映画ファンが堪能できるアドベンチャー大作に仕上がっており、ハリウッドを超えた作品と言っても過言ではないでしょう。ウー監督は、度々日本映画の影響を受けていると語っていますが、今回も黒澤明監督の傑作「七人の侍」を参考にしていると明かしています。

「男たちの挽歌」の斬新で独特な映像美は“香港ノワール”と称され、香港映画の新しいジャンルを確立し、世界をあっと言わせ、その才能と成功を引っさげて「ハード・ターゲット」(93年)でハリウッド・デビューを飾りました。続く「ブロークン・アロー」(96年)を大ヒットさせ、「フェイス・オフ」で世界的な成功を得ます。そして、「M:I-2」(00年)は世界中で約660億円もの興収を記録しました。そんなウー監督が久しぶりに中国に戻って手掛けたのがこの「レッドクリフ」2部作なのです。

アクションとドラマが融合したアジア映画の底力を堪能できる作品で、この作品が世界で大ヒットしたことは大変意味のあることだと思います。描き尽くされた感のある三国志の物語を、ウー監督独特な映画美学で描き切り、映画の素晴らしさを堪能できる作品です。

 

レッドクリフ Part I & II ブルーレイ ツインパック [Blu-ray]

 

2008年・2009年/アメリカ、中国、日本、台湾、韓国/35ミリ/145分・144分/シネスコサイズ/ドルビーデジタル
提供:エイベックス・エンタテインメント、東宝東和、テレビ朝日、Yahho!JAPAN、朝日放送、メ〜テレ、北海道テレビ、九州朝日放送、新潟テレビ21
配給:東宝東和、エイベックス・エンタテインメント

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