書籍「韓国映画 この容赦なき人生 骨太コリアンムービー熱狂読本」(鉄人社刊)をようやく購入して読みました。2011年11月に発行されていて、ずっと読みたいと思っていたのですが、なんだかんだと機会を逸していました。そして、この度ようやく購入し、読破しました。
韓国映画 この容赦なき人生 〜骨太コリアンムービー熱狂読本〜
近年の韓国映画の傑作が詰まった読み応え充分の映画本です。第1章はまず、監督や評論家、俳優たちが32本を熱く解説しています。山下敦弘監督がイ・チャンドン監督「ペパーミント・キャンディー」、竹中直人さんがキム・ジウン監督「悪魔を見た」、宮藤官九郎さんがヤン・イクチュン監督「息もできない」、阪本順治監督がポン・ジュノ監督「殺人の追憶」などなど。皆さんそれぞれが韓国映画に対する熱い思いを語っていて、そういう見方もあるのかと新しい発見もありました。
第2章は映画評論家・塩田時敏さんによる監督論です。「悪い男」のキム・ギドク、「グエムル 漢江の怪物」のポン・ジュノ、「シークレット・サンシャイン」のイ・チャンドン、「オールド・ボーイ」のパク・チャヌクといったビッグ4に加え、イム・サンス、ホン・サンス、386世代のクァク・キョンテク、キム・テギュン、パク・チンピョ、さらにインディーズ出身のリュ・スンワン、新世代のナ・ホンジン、イ・ジョンボムなどなど、主要監督たちをきっちりと取り上げています。
第3章は俳優論で、男優ではソル・ギョング、チェ・ミンシク、ソン・ガンホ、ファン・ジョンミン、キム・ユソクにハ・ジョンウ、さらにウォンビン、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホンといった韓国映画にはなくてはならない演技派、スター俳優を紹介。女優はムン・ソリ、チョン・ドヨン、ペ・ドゥナ、イ・ヨンエ、そしてソ・ヨンヒにハン・ヨルムなど、それぞれ代表作とともに解説。
そして第4章は韓国映画を読み解く22のキーワードによる解説が付いています。韓国人の感情爆発や親の絆・血のつながり、上下関係、整形と美、自殺大国、徴兵制についてなど。韓国映画をもっと深く理解し、楽しむためには必読の章となっています。
韓国映画の魅力は何か、なぜこんなに傑作が産み出され、世界からも高い評価を得るのか。監督、俳優たちの映画との向き合い方、腹の括り方がわかり合点がいきます。作家性がありながら、しっかりとエンタテインメントしている凄さ。悔しいかな日本映画は、近年の韓国映画には学ぶものが多いです。観た人のその後の人生に影響を及ぼすほどの衝撃と感動を持っている韓国映画。
まだ韓国映画に足を踏み入れていない方は、この本を読んでから各作品を観るとより楽しめると思います。でも、覚悟して観ることを忠告しておきます。生半可な気持ちで観たら立ち上がれなくなることは約束します。