観る者を摩訶不思議な世界へ誘うフランシス・フォード・コッポラ監督の異色作「コッポラの胡蝶の夢」は一見の価値有り

フランシス・フォード・コッポラ監督と言えば、「ゴッドファーザー」3部作や「地獄の黙示録」ですが、コッポラが2007年に撮った「コッポラの胡蝶の夢」はまた映画的な世界観を描いた、観る者を摩訶不思議な世界へ誘う作品です。

「レインメーカー」(97年)以来映画の撮影現場から離れていたコッポラが10年ぶりに製作・監督・脚本を手掛けた作品で、現代ルーマニア文学の巨匠ミルチャ・エリアーデが著した「若さなき若さ」が原作です。人生の最終章に再生する魂を得た一人の男の数奇な運命を描いています。

主演は「レザヴォア・ドッグス」(92年)や「海の上のピアニスト」(99年)のティム・ロス。本作では26歳から101歳までの主人公を演じています。ヒロインはルーマニア出身のアレクサンドラ・マリア・ララで、「ベルリン・天使の詩」(87年)のブルーノ・ガンツが脇を固め、「レインメーカー」に出演したマット・デイモンがカメオ出演しています。

言語学者の主人公は孤独な死を待つだけの日々に耐え切れずに自殺を決意するのですが、復活祭の夜に落雷が直撃し、奇跡的に一命をとりとめた主人公は肉体と頭脳が驚異的に若返り、超常的な知的能力を発揮し、かつて愛した女性と生き写しの女性に出会うというもの。主人公がヨーロッパを旅する幻想奇譚となっています。主人公が若返っていくという設定は、ブラッド・ピット主演の「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(09年)と同じですが、本作の方が先に製作されています。

プレスシートの中でコッポラは、本作では小津安二郎監督のスタイルを踏襲したと明かし、カメラは全編にわたって動かさずに撮影するという意欲的な作品です。第二次世界大戦、ナチスの台頭、ソ連の支配という激動の歴史を背景にしていて、全体的に暗いトーンの作品になのですが、当時のコッポラ監督の精神状態、頭の中を描き出しているようで大変興味深い作品です。

 

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他に青春映画の「ランブルフィッシュ」「アウトサイダー」(83年)や、「コットンクラブ」(84年)、「タッカー」(88年)、「ドラキュラ」(92年)といった幅広い作品を手掛けているコッポタ監督。父カーマインは作曲家、妹タリア・シャイアは女優、息子ローマンはと娘ソフィアも映画監督、甥は俳優のニコラス・ケイジという芸能一家のコッポラ一族。コッポラ監督の他の作品とは異なる一面が見られる異色作品は一見の価値有りです。

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