鈴木敏夫プロデューサー著書「ジブリの仲間たち」を読んで、映画プロデューサーの役割を改めて痛感する

数々の傑作を生み出してきたアニメ制作会社「スタジオジブリ」の代表取締役プロデューサー、鈴木敏夫さんの著書「ジブリの仲間たち」(新潮新書)を読んだ。改めて鈴木さんのプロデューサーとしての才能を思い知らされ、大変勉強になった。

 

ジブリの仲間たち (新潮新書)

 

天才、宮崎駿監督のアニメ映画を作るために立ち上げられたこの会社は、もう一人の天才、宮﨑監督の師匠でありライバルでもある高畑勲監督という二人の天才を擁し、名作アニメ映画を世に送り出してきた。

 

鈴木プロデューサーがいかにしてこの二人の天才と対峙しながら、作り続けるだけでなく、興行的に大ヒット作を生み続けてきたのかが語られており、鈴木プロデューサーもまた天才であることがわかる。

 

宮﨑監督の『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』、高畑監督の『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』など、スタジオジブリはなぜ予想を超えるヒット作や名作を生みだし続けることができたのか。

 

作品の力はもちろんだが、そこにはプロデューサーである鈴木さんと、その仲間たちの力がかけ算された結果だった。鈴木さんが「宣伝の本質は仲間を増やすこと」とい述べているように、監督と長い時間激論を交わし、監督が何か考え、どんな作品を作ろうとしているのかを掴み、それが時代とどう重なるのかを発見し、それを世に伝えるために、大きな企業や映画会社を巻き込み、駆けずりまわって、大ヒットに導いていく経験談や秘話は、想像を超えるものだった。ここまでやればそりゃあ大ヒットするわと思えてしまうほど。

 

天才であり人間としてクセものの二人は、鈴木プロデューサーと時にぶつかり合いながらも刺激を受け、鼓舞されながら作品を高めていったようだ。

 

宮﨑監督は昨年引退を撤回し、新作「君たちはどう生きるか」にとりかかっている。そんな中、高畑監督は今年4月5日に惜しくも逝去した。

 

高畑監督の死を経て、鈴木プロデューサーと宮﨑監督は、またどんな作品を世に送り出してくれるのか、いまから完成が楽しみでならない。

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